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atmosを語る上でNIKE AIR MAXは、外すことができない一足だ。 これまで数多くの別注モデルを手掛け、世界中のスニーカーヘッズたちを魅了してきた。 それらのモデルの制作に携わり、東京のスニーカーカルチャーのキーマンであるatmos ディレクター 小島にインタビューを敢行。 atmos初の別注SAFARIから今回発売されるNIKE AIR MAX 1 PRM LIMEADEに至るまでの約20年間の歴史を彼の口から紐解いていく。

■別注の歴史

Q1:atmosがNIKEの別注としてAIR MAXを手がけることになった経緯を教えて下さい。

AIR MAX 95以降も毎年新作がリリースされていましたが大きなヒットはありませんでした。 今では考えられませんが、あのAIR MAX 97でさえもあまり人気とは言えませんでした。。。  ちょうど別注の企画の話があがった2001-2002年ごろは、Air Force 1、DUNK、DUNK SBなどが市場を圧倒していました。海外ではすでにAIR MAXが”カルチャー“としてストリートに定着していたので、その流れをここ原宿からといった思いがあったと記憶しています。その当時の原宿のカルチャーは、世界でも注目されていたので、原宿初のスニーカーブティックの立ち位置だったatmosとしては自然な流れだったのかも知れません。

Q2:最初に完成したのはSAFARIカラーだと思うのですが、
このカラーリングになった経緯はどのようなものだったのですか?

隠さずお話しすると呼び名の通り、AIR SAFARIからインスピレーションを受けています。AIR MAX 1 も、AIR SAFARIも同じティンカー・ハットフィールドのデザインです。当時は原宿界隈のブランドでも大胆なサンプリング手法などが主流でしたので、その流れもありました。 atmos独自のオリジナルディテールとしては、つま先に小さいSWOOSH(チビSWOOSH)を入れたことですね。おそらくAIR MAX 1ではATMOS SAFARI が初めてだったと認識しています、そして今でも続く人気ディテールになっています。

Q3:いろいろなエクスクルーシブモデルのAIR MAX1を作ってきたと思うのですが、
その中でも印象に残っているAIR MAX 1は何になりますか?

すごいベタですが、AIR MAX 1 ELEPHANTを含むANIMAL PACKシリーズですかね。たった1足のKIDSシューズから派生したコレクションが、今ではatmosの人気を世界的に押し上げた代表作になっています。この話は様々なところでしていますので、今回はもう1つ別のストーリーをお話しします。 実は2018年に展開した「WE LOVE NIKE」 シリーズのAIR MAX も一度企画倒れしていたんです、発売までにとても苦労したので印象に残っています。このモデルは、スニーカーヘッズの部屋、スニーカーヘッズに向けてデザインした1足で、僕の部屋もNIKEのSHOES BOXが積み上げられていて、そんな風景を連想して企画されています。 90年代から現在までの様々な時代のSHOES BOXをスタッフみんなで集めて自分たちで写真を撮りました。 また、ベースには僕が初めて買ったAIR MAX 1 でもある「AIR MAX 1 SC (スポーツクラシック)」を採用しています。ライフスタイルラインのオールレザータイプです。なかなか復刻しなかったのであえてベースとして選びました。DA8984-100 そういうところも自分自身思い入れが詰まった1足ですね。

Q4:AIR MAX 1の別注から始まったatmosとAIR MAXの関係ですが、
別注モデルを作るときに特に心がけていることはなんですか?

コンセプト、ストーリーももちろん大事ですが、AIR MAXファンが求めているクレイジーなAIR MAX、atmosにしか作れないAIR MAXを大切にしています。一言で言えば「atmos らしさ」ですね。 僕自身もAIR MAXコレクターなので気持ちが分かります。

■LIMEADE

Q5:2006年にPOWER WALLが発売されたと思うのですが、
このときの状況を教えてもらえますか?

POWER WALLは、AIR MAX 360 の発売を記念して2006年の1月21日に全世界に発売されました。日本国内ではatmosとNIKE大阪だけで発売され、原宿は雪が降っている中、たくさんの人が並んでいたのを覚えています。全56種類が発売され、歴代のAIR MAXシリーズがテーマにそってデザインされていました。その中でもTIER 0ラインはatmosだけで販売させて頂きました。 種類もかなり多いですが、モデルによってはかなり数が少ないものもあるみたいで、コレクター泣かせだったのを記憶しています。

Q6:今回発売されるAIR MAX 1 LIMEADEのデザインについてどう思われますか?

LIMEADEはPOWER WALLのオリジナルにはないカラーですが、どことなく懐かしさもありつつ、マテリアルの使い方やフレッシュなカラーが現代にぴったりだなと思います。 ワンランク上のプレミアムな雰囲気にPOPなライムのインソールやシュータンがポイントですね。3部作の1作目と言われていて続きが気になります。

Q7:今回のコンテンツでもある架空のレモネードショップ「FRUITADE」が
デジタル上でオープンしたということですが、どういう経緯でオープンされましたか?

コロナにより消費者行動が急激に変化している中、前々からデジタルにフォーカスはしていましたが、大きな変革をする機会として逆にポジティブに捉えています。僕らもこんな状況下でも新しい「何か」を考えている中で、デジタル上で面白い企画をやりたくて、トライしたのが今回のプロジェクトです。 企画内容はここではまだお伝えできませんが、皆様が楽しんでもらえる企画を絶賛進めていますので、楽しみしていてください!

■これからのAIR MAX

Q8:マーケットにおけるAIR MAXの立ち位置って時代によって変わると思うのですが、
現在のAIR MAXについてどう思いますか

レトロとNEWのバランスって非常に難しいと思いますが、毎年新しいAIR MAXとレトロのAIR MAXが発売されていますし、AIR MAXの良さって豊富なバリエーションだと思いますので、30年後も50年後も発売されているだろうし普遍的な永久定番ですかね。ヘッズ達の立ち位置は変わらないんじゃないかと思います。毎年どんな新作のエアマックスが出るんだろうって楽しみにしています。あと個人的にはエア バーストあたりを復刻してもらいたいですね。

Q9:現在においてスニーカーは確固たる地位を築いたと思いますが、
これからさらにスニーカーが発展するためには何が必要だと思いますか?

atmosはいまアジア各国にお店をopenしていますが、日本のカルチャーを輸出できるように意識していますし、広めていきたいと思っています。それに加えて国ごとのローカルなスニーカーコミュニティがもっとスニーカーを深掘りしてその国独自のカルチャーになり成長します。 レトロとNEWのバランスが大事ですので過去のストーリーやカルチャーを知ってもらうともっとスニーカー選びが楽しくなると思いますし、歴史を途絶えないようにするのも僕らOGの役割かと思っています。

Q10:これからの AIR MAXに期待することを教えて下さい

atmosとしてはAIR MAXと長い歴史がありますし、atmosは日本のスニーカーカルチャーを牽引していると自負しています。 ですので、これからもAIR MAXと一緒にスニーカーカルチャーを盛り上げていけたらと思います。 前からAIR MAXチームにお願いしていますが、アッパーの素材まで全面エアのAIR MAXを待ち望んでいます(笑)。

profile

KOJI

2000 年入社後、ショップマネージャーを経てからは 様々な企画を打ち出し、 atmosを確固たる地位まで築いた立役者。 自身が手がけた2007年発売の「AIR MAX 1 ELEPHANT」が2016年に開催されたAIR MAX CONの 企画「VOTE BACK」にて、世界で1位となり世界的にatmosの名前が知れ渡った。