THE STORY

OF　AIR MAX

実は、エアを初搭載したスニーカーは、AIR MAX 1ではない。1987年3月26日から遡ること10年、元NASA（アメリカ航空宇宙局）のエンジニアだったフランク・ルディ（Frank Rudy）が、スニーカーの内部にエアを搭載するアイディアをNIKEに提案したことから開発がスタート。そして、翌年末にエアを初搭載したランニングシューズAIR TAILWINDが誕生した。
それまでのミッドソールには、“固形“という特性上から走行を繰り返すことによる劣化は免れなかった。その点、圧縮ガスという“気体“をウレタンフィルムで包んだエアは、劣化のスピードを抑えるだけでなく、全体の軽量化にも大きく貢献。それでも当時の技術ではエアを可視化することができず、ミッドソール内にインビジブルエアとして搭載するに留まった。だが、同時にハートを燃やす人物を産むことに。スニーカーデザイナーのティンカー・ハットフィールド（Tinker Hatfield）である。

もともと建築家だったハットフィールドは、エアの可視化を目指していたある日、パリの総合文化施設ポンピドゥー・センターのガラスとパイプが組み合わされた独創的な外観に目を奪われ、機能的要素を剥き出しにするビジブルエアを発意。パリで芽吹いたアイディアをアメリカへと持ち帰り、何百回という試行錯誤を経て、デザインとテクノロジーが高次元で融合したAIR MAX 1を生み出したのだ。

このアイデンティティは、後継モデルたちにも色濃く受け継がれている。3月26日は生誕を祝しつつ、お気に入りのAIR MAX 1を履いて街に繰り出そう。